3. 司書採用候補者の公開プレゼンテーション

 5/7、Harvard College Libraryの新しいAssociate Librarianの候補者の方が、公開プレゼンテーションを行なうというので、拝聴してきました。
 Harvard College Library(=HCL)というのは、ハーバード大学内の主要ないくつかの図書館が集まってできている図書館グループです。このグループにはトップに1人のLibrarianがいて、その下に4人のAssociate Librarian(それぞれ担当がある)ポストが設けられています。そのうちのひとつ、research & instruction担当のポストに空きがあり、公募が行なわれていました。学内外からの応募の中から3人の候補者が選ばれ、その3人がそれぞれ別の日に時間を設けて、図書館運営に対する自分の見解や戦略を述べる、というのが今回のこの公開プレゼンテーションです。
 今回私が拝聴した候補者の方は、ウィスコンシン州にある大学の現・図書館長の女性でした。”Meeting Challenges of Academic Libraries : Innovation and Balance”という題目のそのプレゼンテーションは、PowerPointの使い方が効果的で、話し方も物腰柔らかく、感じのいいものでした。問題解決への姿勢も前向きで、マイナス要因をマイナスに感じさせない不思議さを覚えました。
 このプレゼンテーションには、HCL内のスタッフ誰でもが自由に参加できます。ただ参加して候補者の話を聴くだけ、というわけではなく、その候補者のプレゼンテーションの内容や質疑応答の様子などを参考に、参加者たちが自分なりの評価をコメントとしてしたため、提出用紙やe-mailなどで担当部署に送るのだそうです。もちろん”投票”というわけではありませんが、そうやって集積された現職スタッフの評価が、採用不採用決定の際に何らかの判断材料となるであろう、ということでした。また、公開プレゼンテーションだけではなく、学内の各種担当者との懇談会などもあり、ランチ・ディナーも含め2日間ぎっしりとスケジュールが組まれています。その時々での発言・意見交換も何らかの評価対象となるのでしょうか。そのようなプロセスでトップに近い人が選ばれるのであれば、多少自分と考えに違いがあったとしても、安心して仕事ができる気がします。
 このような公開プレゼンテーションが事前に課せられるのは、トップに近い役職の人だけではなく、サブジェクト・ライブラリアンなど、すべての専門職ポストで規模の大小はあれ行なわれるそうです。

 Harvard College Library
 http://hcl.harvard.edu/