41. 手軽に情報共有・情報発信 — iSite

 ハーバードでライブラリアンのみなさんの仕事振りを拝見していて、日本での仕事の進め方と際立ってちがうと感じることのひとつが、お互いの持っている情報を上手に共有し、柔軟に活用していく、という姿勢です。勉強会による情報共有(【8. 日米”勉強会”事情】)やe-resourceに関する情報のマネジメント(【36. オンライン資料を効率的に管理する — E-Resource Management】)などの事例をこれまでご紹介しましたが、今回はiSiteというツールを使った、webサイトによる情報共有・情報発信についてご紹介します。

 iSites
 http://isites.harvard.edu/icb/icb.do?keyword=icommons&pageid=icb.page11690

 iSitesは、ブラウザ上で操作してwebサイトを作成することができる、webベースのコンテンツマネジメントシステムです。HTMLに知識のない人や、エディタを持っていない人でも、一定程度のレイアウト、デザインと機能を持ったwebサイトを自作することができます。そもそもは、授業のためのwebサイトとして、教員から学生に資料や講義情報を提供することができるように、というツールですが、授業用だけではなく、研究グループ用サイトを作成したり、事務員が業務用webサイトを構築することも可能となっています。
ハーバードの各図書館やライブラリアン、及びそのグループの利用も多く、公開用・限定用のリサーチガイドとして利用者向けのコンテンツを作成したり、業務用Webサイトを構築して情報を共有・公開したりといった活用がなされています。ハーバードには複数の図書館同士によるプロジェクトや、全学レベルで連携しあっての委員会・ワーキンググループの類が非常に多く、それらグループにおけるメンバー同士の情報共有や、他のライブラリアンへの情報公開といったことに、このiSiteが大いに活用されています。

Science Libraries @ Harvard
http://isites.harvard.edu/icb/icb.do?keyword=k21001
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Bibliographic Standards Working Group
http://isites.harvard.edu/icb/icb.do?keyword=k26185
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E-Resource Management & Licensing – Harvard Libraries
http://isites.harvard.edu/icb/icb.do?keyword=k11228
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 webページ作成の経験がない人でも、自分自身の手で自由にサイトを構成し、情報発信を手軽に行なうことができるのが特徴です。また、PINSYSTEM(【29. どこでもハーバード — WebサービスとPIN System】)を利用して、一般公開できない情報や、特定少数のメンバーだけで共有したい情報に対してアクセスコントロールを行なうこともできます。
 さらに、特定の部局のサーバを間借りしたり、システム担当者に手間を依頼したりといったことが必要ない、というのもこのツールの大きな利点です。複数館または全学レベルでの連携によるグループであっても、webサイトの置き場や管理者について交渉や捻出の必要がなく、比較的スムーズにスタートできることになります。