中野守『楽屋ちゃん2017』(#egamidayの貸棚書店)

 中野守. 『楽屋ちゃん2017 : 戯曲』. 中野劇団, [2017].

 関西の好きな劇団のひとつ・中野劇団については、少なくとも私は中野劇団の舞台を観て笑わなかった記憶がないので、ぜひおすすめです。その中から、なぜか2冊持ってた戯曲本「楽屋ちゃん2017」を1冊出してます。
 世に、どう面白いかを説明しようとするとネタバレになってしまうので説明できない、というパターンのコンテンツってあると思うんですが、これもたぶんそうで、ざっくり言えば、ある舞台が現在進行しているところの楽屋の様子を描いている、楽屋ですから”裏”なわけで、舞台の裏ではこんなこと言ったりやったりしてるんだねえ、…と、思いきや。という感じのやつです。構造のおもろいやつです、それ言っちゃうのもちょっとあれなんだけど。
 という曰く言い難いのを、ぜひ読んでいただいたあとには、DVDなり配信なりでもまた観てください。

参照:
中野劇団
http://nakanogekidan.com/
https://store.kan-geki.com/products/detail.php?product_id=2052 (DVD)
https://kan-geki.com/streaming/play/1287 (配信)

#egamidayの貸棚書店
烏丸丸太町近くの #こもれび書店 にて
https://komorebibook.theshop.jp/

田辺剛『旅行者』(#egamidayの貸棚書店)

 OMS戯曲賞vol.14の戯曲本で、田辺剛『旅行者』、2008年刊

(写真、裏だった…)

 好きな京都の劇団のひとつ・下鴨車窓さんの中でも好きな作品のひとつで、たぶん初演含め2回くらい観てると思うのですが、シンプルな舞台に、不条理なファンタジーのような設定で、会話劇が進む的な感じで、ある土地のある家に行き場を求めて集まった5人の女性の、”旅行のようなもの”を強いられる様子を描いたもの。って思ってましたが、さっき作者のコメントを読み返して、あ、そういうことか(かもしれない)、ってなるのも戯曲本の楽しみですよね。
 我々は、どこかへ行くことを、どこに行くのかを、いや、どこに居るのかを、そもそも自分が何者かを、社会(の顔をした得体の知れない何者か)から強いられるということ、それって不安なのか怒りなのか、いや半笑いで適応していかなきゃ生きていけないのか。世の中のほとんどは自分の知らないところで決まる、と無邪気に笑う女と、どこかの誰かに強いられてここにいるわけじゃない、と抗って叫ぶ女と。でもどっちにしろ根無しなんだな、我々って。それが、過度にネガティブっぽくもポジティブっぽくもないところが、好きだったのかも。
 そんな好きな戯曲本(しかもCiNii Booksでは所蔵館無し)を売りに出しちゃっていいのか?と言うと、実はなぜか2冊本棚にあったので、重複本1冊を出してます。どうぞ誰かお読みください。
 ちなみに「書庫」という当業界人必見の舞台の戯曲本もあるんですけど、それは1冊しか持ってないので出さない。

参照:
下鴨車窓
https://mogamos.link/
「旅行者」

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