今日の論文読みメモ: マンガ書誌の更新プロジェクト@ワシントン大学

Lee, Junghae and Hill, Keiko (2024) “Manga Records Enhancement Project at the University of Washington Libraries,” Journal of East Asian Libraries: Vol. 2024: No. 179, Article 4.
https://scholarsarchive.byu.edu/jeal/vol2024/iss179/4

・2022年、LCSH(米国議会図書館件名標目)に「Manga (Comic books)」、LCGFT(米国議会図書館ジャンル形式用語)に「Manga」が設けられることになった。(日本式のマンガ)
・これを機に、ワシントン大学では既存の該当書誌に「Manga (Comic books)」「Manga」を追加することにした。
・ワシントン大学図書館のマンガ(日本式の)は約2000タイトルで、アメリカ式コミックを含むコミックグラフィックノベル全体の中の約22%を占める。
・Almaに収録されている書誌レコードの中から、該当する日本マンガの書誌を特定するため、LCC(米国議会図書館分類)を使用。ワシントン大学ではマンガについての資料にはPN6790.J3を、マンガ作品そのものにはPN6790.J32-PN6790.J34をわりあてている。
・既存のマンガの書誌レコードには、既存の件名標目がそもそも存在していた。今回のプロジェクトでは、既存の件名標目を消して新しい件名標目(「Manga (Comic books)」)に置き換えるか、既存の件名標目もそのまま残すか、について議論された。結果、既存の件名でもユーザによる検索には依然有用な可能性もあるため、残すことになった。
・マンガについての資料(PN6790.J3)の場合
 既存の件名として、650フィールドに、「Comic books, strips, etc.」がある。
 新規の件名として、650フィールドに、「Manga (Comic books)」を追加する。
・マンガ作品(PN6790.J32-PN6790.J34)のうち、短編のマンガ作品の場合
 既存の件名として、655フィールドに、「Comics (Graphic works) 」がある。
 新規の件名として、650フィールドに、「Manga」を追加する。
・マンガ作品(PN6790.J32-PN6790.J34)のうち、長編のマンガ作品の場合
 既存の件名として、655フィールドに、「Graphic novels」がある。
 新規の件名として、650フィールドに、「Manga」を追加する。
(<e>ComicsとGraphic novelsを、日本式にMangaで統一したかたちになる?)
・「Shōjo manga」「Shō nen manga」のようなジャンルの件名は、実物を確認しなければ判断できないため、本プロジェクトのバッチ処理では追加できなかった。
・日本では数多く出版されているノンフィクションのマンガについては、特定することが困難である。(<e>ComicsでもGraphic novelsでもない、各主題による、ということか)
・公平性・多様性・包括性(EDI)の観点から適切でない用語は、代替する用語に置き換えられている。このアプローチのすぐれた事例として、以下がある。
Orbis Cascade Alliance Cataloging Standing Group. 2020b. “Recommendation to Implement an Alliance-wide Alternative to the LCSH ‘Illegal Aliens’ Subject Terminology.” https://drive.google. com /file/d/ 1ao8mYQ1do9IKKHR2eqIOda8M9iKZrQqr/view
・LCGFTには「Manhwa」(韓国式マンガ)を用語として追加する提案が提出されている。このような場合でも、今回の方法が適用できる。なお、ワシントン大学図書館の「Manhwa」(韓国式マンガ)所蔵は約1600タイトル(約18%)であり、これを探しやすくすることは有益である。

「海外の日本研究と日本図書館」に関する2024年5月~12月の動向レビュー — 極私的注目編+エンタメ・アート・ビジネス編 ( #本棚の中のニッポン )

■極私的注目

●欧州研究のための図書館員ハンドブック
・「米・ミネソタ大学図書館、欧州研究に携わる図書館員のためのハンドブックをオープンアクセス書籍として刊行」(カレントアウェアネス・ポータル)
https://current.ndl.go.jp/car/222157
「欧州及びユーラシアに関する専門的な知識を持たない図書館員等が自信を持って欧州研究に関する質問に回答し、コレクション構築のためのリソースを迅速に把握できるよう支援するほか、欧州研究に関する図書館業務におけるトレンドや、図書館コレクションを多様化する」
・Vetruba, Brian; Madden, Heidi. Handbook for European Studies Librarians. University of Minnesota Libraries Publishing, 2024, 545p.
https://open.lib.umn.edu/europeanstudieslibrarians/

●webサイトにルビを表示できるボタン
・「京都・嵐山の福田美術館、ウェブサイトに自動でふりがなを追加する「ルビフルボタン」を導入」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000123230.html
「ルビ財団は2024年4月より、ウェブサイトを閲覧する子ども、外国人の方などの漢字を読むことが苦手な人に対してアクセシビリティを確保・向上することを目的に、自動でふりがな(ルビ)を追加する機能「ルビフルボタン」の無償提供」

●CiNii Research自動翻訳機能
・「CiNii Research自動翻訳機能 試行版の提供開始~日本語が理解できない利用者でも日本語論文の検索が可能に~」
https://www.nii.ac.jp/news/release/2024/1021.html
「英語のキーワードを用いて日本語論文を検索できるようになり、また、検索された日本語論文のタイトルや著者を英語に翻訳して表示することが可能となり、日本語が理解できない利用者の利便性が大幅に向上する」

■アート・エンタメ・ビジネス

・気づいたら日本ブームがすごいことになっていた | NHK | WEB特集 | アメリカ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240914/k10014581551000.html

・JFF Theater
https://www.jff.jpf.go.jp/
・「JFF Theater」本日オープン
https://www.jpf.go.jp/j/about/press/2024/014.html
「国際交流基金(JF)は、2024年8月1日に新たな映像作品配信ウェブサイト「JFF Theater」をオープン」「全世界を対象に、無料で、多言語字幕付きの日本の映画等を常時配信」

・英国の「日本小説ブーム」でとくに売れ行き絶好調の3ジャンルとは | クーリエ・ジャポン

英国の「日本小説ブーム」でとくに売れ行き絶好調の3ジャンルとは | 「村上より村田をもうひとりくれないか?」


・「日本の小説ブーム」がイギリスで起きている、「猫」や「曖昧さ」などブームに不可欠な意外な要素とは? – GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20241127-japanese-fiction-britain-translation-boom/
・A Beginner’s Guide to the Japanese Book Market
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/international/international-book-news/article/96324-a-beginner-s-guide-to-the-japanese-book-market.html

・最深日本研究 〜外国人博士の目〜 – NHK

「海外の日本研究と日本図書館」に関する2024年5月~12月の動向レビュー — コミュニティ編 ( #本棚の中のニッポン )

■コミュニティ

●EAJRS
・「E2751 – 第34回日本資料専門家欧州協会(EAJRS)年次大会<報告>」(カレントアウェアネス-E)
https://current.ndl.go.jp/e2751
・EAJRS 2024 Sofia
https://www.eajrs.net/conferences/2024-sofia
・EAJRS 2024(動画)

●CEAL/NCC
・「E2709 – 2024年CEAL年次大会及びNCC公開会議<報告>」(カレントアウェアネス-E)
https://current.ndl.go.jp/e2709

●Envisioning the Future of NCC Task Force
「NCC の将来ビジョンを概説する予備文書を作成し、コミュニティからの意見を募ってこれらの可能性について議論します」

・NCC Community Survey : ”The Future of NCC” Summary Report Prepared by Matthew Hayes for NCC Open Meeting, March 14, 2024- Seattle
https://guides.nccjapan.org/ld.php?content_id=76074419
 今後のNCCの活動を議論する上でのアンケート、シアトルのCEAL2024(2024年3月)で報告されたもの。
 ↓
・Call for Volunteers to join the Envisioning the Future of NCC Task Force | H-Net
https://networks.h-net.org/group/announcements/20031600/call-volunteers-join-envisioning-future-ncc-task-force
 それを経てのタスクフォースメンバー募集の呼びかけ。(のちに選出)
 なお、NCC Newsletter (Spring 2024) も参照すること。
 ↓
・「In preparation, please read the attached documents」
Term: May 1, 2024 – August 30, 2024
https://drive.google.com/file/d/1Wqfg6CkoJviO16bMvOcsK4H28cA1UMIQ/view
 ↓
・「Call for Librarian Feedback: Envisioning the Future of NCC」
https://guides.nccjapan.org/homepage/news/news/Call-for-Librarian-Feedback-Envisioning-the-Future-of-NCC
 ↓
 この後、2025年1月に調査結果が発表されている。

●その他
・プランゲ文庫室長ジェンキンス加奈へ優秀賞 | プランゲ文庫ブログ https://prangecollectionjp.wordpress.com/2024/06/16/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B2%E6%96%87%E5%BA%AB%E5%AE%A4%E9%95%B7%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B9%E5%8A%A0%E5%A5%88%E3%81%B8%E5%84%AA%E7%A7%80%E8%B3%9E/

・Specialist Spotlight: Keiko Hill
https://guides.nccjapan.org/homepage/news/news/Specialist-Spotlight-Keiko-Hill
「co-authored guides to “Critical Cataloging and Archival Description” for the University of Washington Libraries (2021) and developed reports on equity, diversity and inclusion at her home institution (2023) 」

・Specialist Spotlight: Fabiano Takashi Rocha
https://guides.nccjapan.org/homepage/news/news/Specialist-Spotlight-Fabiano-Takashi-Rocha
「Rocha is actively engaged with the Japanese Canadian community in Toronto. 」

・Specialist Spotlight: Alessandro Bianchi
https://guides.nccjapan.org/homepage/news/news/Specialist-Spotlight-Alessandro-Bianchi

・Specialist Spotlight: Setsuko Noguchi
https://guides.nccjapan.org/homepage/news/news/Specialist-Spotlight-Setsuko-Noguchi

・Kuzushiji Workshop 2024 (University of Strasbourg) | European Association of Japanese Resource Specialists
https://www.eajrs.net/kuzushiji/kuzushiji-workshop-2024-university-strasbourg
「NIJL/EAJRS Kuzushiji Workshop, which is a collaborative programme between the National Institute of Japanese Literature (NIJL) and the European Association of Japanese Resource Specialists (EAJRS), started in 2011」

・NIJL / EAJRS kotenseki seminar
https://www.eajrs.net/koten/nijl-kotenseki-seminar
「The Kotenseki seminar series, organized by National Institute of Japanese Literature (NIJL) and European Association of Japanese Resource Specialists (EAJRS), covers various topics related to Japanese pre-modern materials. The online lectures will be given by a researcher from NIJL in Japanese」

・河村真澄「韓国国立中央図書館主催 海外韓国学司書ワークショップの紹介」『アジア情報室通報』22(2),国立国会図書館. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13720379
「韓国国外の図書館で働く韓国学分野の司書、職員を対象としたもので、2005年から始まり、2023 年で16 回目」
「①NLK 見学、②参加者によるテーマ発表、③レクチャー、④類縁機関見学」
「宿泊費、プログラムにかかる交通費、食費はNLKの負担で、往復航空券代、旅行保険料は参加者の負担」

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