バルセロナ日記 1日目その1 「観光公害の街から、観光公害の街にやってきました」 ( #202505eu )

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 さあ、まずは街へ出てみようじゃないか。

 初日だし、とりあえずは身体を街にならす感じで、まずはざっくりと楽しんでみたい。
 ということで、最初の行き先をカタルーニャ広場~カテドラルにさだめてみます。

 カタルーニャ広場はバルセロナの”四条河原町”にあたるとにかく街の中心地たるところで、そこから旧市街もひろがっていく感じの立ち位置。
 カテドラルは、もちろん、ヨーロッパで初めての街に来たらまず挨拶に行くべきはカテドラルでしょうなので。

 というわけでルート検索であえてバスを探し、地下鉄駅近くのバス停から中心街方面のバスに乗るわけです。
 あえてバス。地下鉄は速いかもしれんが、最初なのでまずは街の構造や雰囲気なんかを感じ取ることができるように、こういうときは地上の車窓がたっぷり拝見できるバスを選びたいのです。
 どうやらカタルーニャ広場へ行ってくれるらしきバスに、いよいよ、第一バス乗車だなと、多少身構えつつも、持ってるのは乗り放題カードなのでドンと来いとばかりに、前乗り・ドライバー横のそれらしきリーダーにカードをピッと・・・。

 ドライバー「*********」

 ・・・え?
 なに、これじゃないのかな?
 ドライバー、手で後ろを指すから、ああもう処理終わってるだかタッチ不要だかで、行けってことなのかな。でも音もしないし、処理終わった感が全然しないんだけどな。
 とふわっと後方へ進むと、あ、まって、なんか違うボックスがある。これにタッチ・・・?
 と、うしろのほうにいた乗客のおじさんが、
 「********」
 と何か言いながら、なんか手ぶりで教えてくれてるような。
 
 ・・・ああ、そっかそっか、この乗り放題カードってICじゃなく”磁気”のやつだ。
 だったらタッチじゃなくて、この機械のスリットに入れなきゃだよな。
 というわけで、それらしき処理が終わった感を得たので、おじさんに手ぶりで礼を伝えたりしてる。

 ふう、やれやれ。
 と、一乗客になりすましてみますというと。
 まず、冷房がガンガンに効いててありがたいし、あ、もうそういう気候の土地なんだなと悟る。
 そしてさすがバス、遅い。京都と同じで、混んでる車の列の中でなかなか進まない。センターに向かってるから、なおさら。
 ていうか、ここって相当の大都会なんだな、ということがこれだけでもよくわかります、道幅は広くて複数車線あるけど、渋滞で進まないくらいの交通量。窓から見える都市的構造物も、商業活動も、人出も、ふつーに都会だし。
 加えて、街の高低差というか傾斜が相当あるな、というのもおかげでよくわかるわけです。あーこれ、神戸・シアトルのつもりにしとかなあかんな、という覚悟。
 といういろいろがわかる、やっぱ、初手はバスに限るな。

 というような観察をする余裕が綽々なくらい、えっちらおっちらとした進み方で。
 カタルーニャ広場に到着。

●まずはその1、街に身体を馴らす

 ここがバルセロナの中心、↑カタルーニャ広場か。
 なんかもっと人々が自由気ままに闊歩してるだだっぴろスペースを予想してたんですが、なんかよくわからんイベント仕様になってて、簡易フェンスで封鎖されており、結局最後までこの場所の全体像はわからずじまいでした。
 あとよく言われる「ここではスリに注意」的なのも、あまりに人が多くて気をつける余地もない、というありがちな感じ。

 このカタルーニャ広場から海の方へ向かって広がるのが、ざっくり言えば、旧市街というやつです。
 最初の詣で先であるカテドラル、その方角(南東)だけ見定めて、まずはマップも予習ポイントもいったん無視して、足の向くままランダムに歩いてみます。

 身体と意識を、街全体に馴らしていく、という感じで。
 ふわーっと歩いてみると。

 いきなりガチ旧市街だった。

 路地に継ぐ路地、人の暮らしと商業・観光、何時ともつかない遺跡並みの歴史が、凍結され、積み重ねられ、またはパッチワークされ、そこへ今日現在の日常があたりまえのように塗りたくられていて、それがこの界隈一帯に延々と続く、という。
 街歩き開始数分で、いやちょっと待て、これはなかなかの土地に来ましたよ、という感じ。

 たとえば、ランダムに歩いてるだけなのに、偶然↑クアトロガッツ(詳細後日)に行き当たる。

 人が盛り上がってるなあと思ったら、偶然↑キスの壁に行き当たる。
 ヤバいぞこの街、スポットだらけなのでは。
 (なお、このキスの壁は単なる映えスポットなだけでなく、スペイン継承戦争でのフランス軍によるバルセロナ包囲&降伏(1714年)から300年後という因縁で、2014年につくられたもの。平和でありますように。)

 プラザ・ノバというカテドラルの北側の広場に、↑ピカソの壁画が描かれている建物(註:カタルーニャ建築家協会)があり、そしてその対面がローマ時代の石が残る云々・・・であるやに予習してたんですが。
 えっとね、もうなんかそれどころじゃなく、工事中エリアできゅうきゅうとしており、その狭いところを車両も遠慮なく右往左往してる。
 そう、なんか、街全体に工事中の箇所がやたら多いのです、旧市街も遠慮無く。これは相当に経済のまわってる街なのでは。

 というような、俄か観察を楽しみながらも。

 バルセロナの街のカテドラルに到着。

 いや、もう、こう言わずにはいられないのです。
 「観光公害の街から、観光公害の街にやってきました」、と。
 とにかく、人、人、人。

●まずはその2、カテドラルに挨拶詣で

 さておき、バルセロナのカテドラルとは。

 サンタ・エウラリアさんがまつられているサンタ・エウラリア大聖堂、がその本名。元はロマネスク様式だった大聖堂が、後年ゴシック様式で建て替えられ、いまのかたちで完成したのが15世紀。
 ゴシックと言ってもこの街のゴシックは「カタルーニャ・ゴシック」と呼ばれ、ケルンだウィーンだのチュロスが竹林のように高く生えそびえてるあの感じとは、だいぶ趣きがちがうんだそうで、ものの本曰く、縦にシュッとしてるというより、横にどっしりとした重厚感・ボリューム感という感じ。細かい装飾もほとんどつくられずシンプル。壁が分厚く、窓も少なくて、内部はけっこう暗々しい。え、それもうゴシック建築の要素ほぼなくなってないか。
 と言いつつ、目前のカテドラルの正面は、それなりに縦にシュッとしてて(いわゆる尖塔)、細かい装飾物もゴテゴテブツブツとそれなりにたかってるように見えますが、実はこのファサード部分だけは、1888年バルセロナ万博の折にノーマルなゴシック様式で増築されたらしい。あー、道理で、です。(ちなみに増築前のファサードがこちら、なるほど→https://catedralbcn.org/wp-content/uploads/2021/11/Catedral-Barcelona-600×458.jpg

 さて、中へ入ろうとすると、入場口が2種類に分かれていまして、ガチ礼拝の人たち(時刻はちょうど正午)はスルーパスだけど、観光目的の人はチケットがいるらしい。
 お隣の観光事務所のようなところに別途チケットオフィスが設けられているあたり、たいそうな構え方じゃないですか。そのチケットも対面で買うのではなく、でっかいタッチパネル式のディスプレイに出迎えられて、セルフで操作して、タッチ式クレジットカード払いで、えーっと・・・。

 16ユーロ!?!?!?
 教会で16ユーロするの!?
 
 正直、町の教会にお参りするのに”有料”っていうのもちょっと「おや?」だったんですけど、え、16ユーロって、日本円にしたらいま(註:2025年5月)だと、えー、25、いや26・・・。

 あ、やめた。
 (注:計算するのを)

 というわけで、これ以降、値段を円換算で意識するのをこの旅ではいっさいやらないことにしました。この時に悟りました、それ気にし始めたらこの街ではたぶん何もできんし、なんにもおもろなくなってしまう、もう無視しよう。
 落ち込むのは、帰国後に、全部引き受ける、と。
 以降、ユーロ表記だけになります、適宜ご想像ください。

 よし、気を取り直して、中へ。

 あー、なるほど、確かにゴシックの名が持つイメージに反して、上へ上へ感が無いのがわかります。平面に長い直方体感の方が強い。採光が極力少ないというのもおっしゃるとおりで、明らかに暗い。
 これほんとにファサードがゴシックなだけで、かぶった面を剥ぎ取ると違う顔があらわれてますね。

 それでもこういう八角形のドーム(ここがファサードの尖塔)とか、ステンドグラスの神々しさはちゃんとある。

 入ってすぐの場所、中央を陣取るのは聖歌隊席で、この↑レリーフはバルセロナの守護聖女・エウラリアの物語を描いたもの。
 ローマ時代、「なぜキリスト教を信仰してはいけないんですか?」とローマ兵に尋ねた、13歳の少女・エウラリア。ローマ兵はその問いに答えることなく、エウラリアを拷問にかけた挙げ句に虐殺したという。
 このエピソードは現代にも語り継がれるべき。

 その↑聖歌隊席。ど真ん中を陣取ってるだけの見応えはある。

 イエス像の真裏に行くと、ステンドグラスを通して注ぐ正午付近の陽光が、しっかり神々しくて、あそこに立ってると昇天が疑似体験できるんじゃないかと思ってしまうのです。なお、この正午のステンドグラス陽光は、日文研図書館でも体験できますので是非。

 ↑地下礼拝堂。ここがエウラリアさんの墓地らしく、中央の棺の彫りものがすごい。
 そしてこの天井アーチの見事さについては、今後この旅での建築探訪を予見しているかのようではあったな、と。 

 なお、こうやってパシャパシャと遠慮なく写真に撮っていますが。
 このカテドラルをはじめとして、このあとどこへ行っても、教会でも建築・史跡でもミュージアムでも、基本的に写真はOKともダメとも特に言及すらされることなく、よっぽど明確に禁止表明がされてない限りは、デフォルトで撮りたい放題でした。グエル邸やカサ・バトリョのようなお宅の内部なんか、全面禁止でも不思議じゃないのに、まったくフリーなの、ちょっとびっくりした。

●まずはその3、高所から街を展望

 さてこのカテドラルは屋根の上に上がることができるのもひとつの売りらしく、行ってみました。

 高い屋根からバルセロナを望めば、ディビダボ、モンジュイック、地中海、ロープウェイ、タピネリア通り・・・。
 予習の成果と言いますか、海・山が、あの建物が、この通りが、それぞれの位置関係が、予習通りだったり補正したり、ああ、あの植物はどれそれのお庭なんだな、あの街路樹はストリートビューで見たまんまじゃないか、等々までわかってとてもうれしい。

 なにしろ、これは写真では伝わらないのですが、↑サグラダ・ファミリアさんのデカさが半端ないのがよくわかるのです。
 待っててください、明日ちゃんと行きますからね。

 この屋根上の小部屋に幼年向けコンテンツとして、VRゴーグルで見るカテドラルとバルセロナの歴史、みたいな動画があったのですが、そのコンテンツ、英語、中国語、韓国語まであって、日本語版がありませんでした。これではっきりしてますよね、いま日本が、少なくとも世界的観光地の観光来客数としてどのような位置にあるのか、ていう。帰り際、背後の方でスタッフさん同士がスペイン語でしゃべってはった会話の中、「ハポネ(日本)」だけが聞き取れたのですが、何をしゃべってはったのかはわからない。

 下へ戻って。
 回廊と中庭へ。

 建造物自体は14-15世紀のもので、礼拝のための小部屋があったり、史跡的にも宗教的にも密度が濃そうではあるのですが、それにも増して、とにかくお庭が爽やかすぎ。
 小鳥がさえずり、ガチョウが鳴き、水がちょろちょろと流れる音が響き、日に照らされた緑と柑橘のオレンジ色が鮮やかで、そびえるヤシの木を見上げれば、青い空と白い雲がくっきりと目に映える。清涼感あふれるオアシス。
 あまりの爽やかさにすっかり忘れてたのですが、ここにはサン・ジョルディの像があるはずなのです。見逃した。

 床のレリーフはギルドのものらしい。

 というわけで、初日の第一チェックポイントからすっかり堪能してしまいました。気づけば、ここだけで1時間以上いてた。
 え、ちょっとヤバいぞ、これはだいぶ絞り込んで観光していかないと、とてもじゃないが滞在期間中に観たいもの観終えられないではないか。
 と、いきなり危機感を感じております。

 どうするどうなる、バルセロナ日記。