読んだ本のメモ: 百人一首、古典書誌学、古活字版

●田渕句美子. 『百人一首 : 編纂がひらく小宇宙』. 岩波書店, 2024.
 百人一首が定家選なわけじゃない、ってことを自分があたりまえのように理解してたのって、いつ頃からのことだったんだろう、もう思い出せないくらいだから学部以前なんだろうとは思うんだけど、何を読んでそう理解したのかとかを思い出せない。というくらいなので、読んでてもするすると違和感のない、そうですよね、的な感じだった。

●『百人一首リサーチ』. 文学通信, 2025.
 ひさしぶりにこういう筆致の文章を読んだな、という、なかなかな感じ。

●佐々木孝浩. 『日本古典書誌学論 新訂版』. 文学通信, 2025.
 その考え方に、発表当初は否定が主だったというのが、信じられない、と思うのは自分が”文学の研究”じゃなく”メディアの実務”にこそずっと長く身を置いてきたし、そもそもそっちを志向してたから、かもなという感じ。だって、こういうことをもっと精査調査しないと、困るじゃないか、という点で、以下↓と同じ感想、という脳内本棚に置きます。
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「図書館史・出版史・・・はたしてそこでは作品の内容・表現や創作性、作家・文学史といったものにどこまで踏み込んで考察されているか」
(本読みメモ『「大東亜」の読書編成』: 第三部「流通への遠い道のり」、そしてこの本は…: egamiday 3 http://egamiday3.seesaa.net/article/494431324.html
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 ちなみに新訂版になって、安くなった、という以上に、柔らかくて軽いので読みやすくなった(特にバスの中で)というのがある。

●ピーター・コーニツキー. 『外から見た江戸時代の書籍文化 : 写本・版本・在外書籍』. 勉誠社, 2025.
 「古活字版の終焉」。寄席で「なんで活字使われなかったの?」と問われることはほぼ毎年のようにあるのを、なんかふわっとしか答えられてこなかったですが、これからはちゃんとこう答えます。