東京~札幌ほぼ鈍行勝手旅・202411 - 1日目「餃子と言えば郡山」

 2024年11月、鉄道で東北・北海道あたりを旅行してきた時の想い出メモのようなものです。

 きっかけとしては、木曜日に札幌で用事ができた、その前の日曜日に東京での予定があった、だったら京都との単純な2往復よりも、東京~札幌間を日~水で移動することにすれば、ちびちび途中下車の鉄道旅行ができるではないか!という、生来の18キップ根性があらわれたことによります。
 東北にはほぼ縁のない身でしたが、行ってみたい東北のスポットはいくつもGoogleマップにマーキングしており、その中でもナポリや日光レベルで極私的マスト候補地が、
 ・会津若松のさざえ堂
 ・平泉の中尊寺金色堂
 この2カ所をメインのチェックポイントとして、あとは鈍行乗車券のみで途中下車を繰り返し、最終的には札幌をめざし、陸路でちゃんと札幌まで行けることを自己満足的に証明しよう、という謎企画です。

 目論んでいた主な旅程は以下の通り。

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日曜
 ・佐倉で歴博展示
 ・東京で観劇
 ・鈍行で東京~郡山
月曜
 ・会津若松でさざえ堂
 ・鈍行で郡山~仙台
 ・仙台でせんだいメディアテーク
火曜
 ・鈍行で仙台~盛岡
 ・平泉で中尊寺金色堂
 ・紫波でオガール紫波
水曜
 ・第3セクタで盛岡~青森
 ・北海道新幹線で青森~函館
 ・特急北斗で札幌
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■日曜

●国立歴史民俗博物館@佐倉

 始発で京都を出て、最大限早く佐倉に着くようにがんばった結果。

 10時前、歴博に着。

 ↑そう、これに来た。

 「歴史の未来―過去を伝えるひと・もの・データ―」
 https://www.rekihaku.ac.jp/event/2024_exhibitions_kikaku_mirai.html

 歴史的にもDH的にもメディア的にも、充分すぎるほど気になるお話だったので、これはぜひと思って見に来ました。
 歴博さんはかつて海外出張の帰りに成田から立ち寄った際、まったく時間が足りないボリューム施設なんだということを思い知らされたので、かなり身構えてはいたのですが、企画展は常設展ほどではないんだな(ていうか常設展が桁違いにデカくて、アナログツインかなと思った)ということで破綻せずには済みました。それでももちろん、たっぷりの企画展で2時間フルに堪能した感じ。
 歴博設置当時の議論が文書でちゃんとのこってるあたりが、うちとこはこれが弱いんだよなあとこれも思い知らされ、この件も含めて、帰ったら実践にうつるべきという思いを新たにしたりしてました。

 このあと、東京に急いで戻る。
 11月なのにとにかく暑い。そして昼食も、時間がないからベンチでおにぎりだけ食べてて、なかなか旅情が感じられない。

●シベリア少女鉄道『君がくれたラブストーリー2024』@赤坂

 大好物の劇団の、この世の中にある会話劇の中でもっとも最高の作品だと思ってるのの、再演を奇跡的にやるというので、やってきました。
 やっぱり最高でした。
 シベ少さんは、何がどう面白いかを言葉にしようとすると漏れなくネタバレになる、という非常なやっかいさで、今回もやっかいなので、私からは以上です。ただ、「最高」とだけ。

 いったん東京駅まで出て、いよいよここから鈍行での北上旅が始まるということで、まずは第3セクタ手前の盛岡駅までの乗車券(註:最終的にこの買い方がリーズナブルなのかどうかは不明ですが、大人なのでもうあまり気にせず買っちゃう)を買おうとするのですが、券売機で買おうとしてもまあもちろんうまくいかないだろうことはわかってたので、みどりの窓口で対面で乗車券を買います。
 「盛岡まで乗車券のみで」と対面でお願いしたところ、窓口さんははいはいと軽快に機械を操作するのですが、2拍ほど置いてふと「……特急券はすでにお持ちということなんですよね?」と問われるので、ああちがいます、鈍行で行くつもりなんです、と説明して事なきを得るという感じ。だから対面・対話も大事やねん。

●HUMANITIES CAFE fudoki

 東京発 15:59 → 大宮着 16:31

 というわけで、いざゆかん、Go North、とばかりに颯爽と宇都宮行きに乗り込み、しかしこのまま行くとあまりにも順調過ぎるな、もうちょっとどっか寄り道できるとかないかな、と色気が出てきて、こういうときのために使ってたのがGoogleマップで、日々いろんな情報に触れる中で、なんか興味をひいた場所があったら、行くあても行く予定も縁もゆかりもまったくなかったとしてもダメ元でGoogleマップに★マークで保存しておいて、のちのちもしかしてフラッと近くを通りすがったときに、あ、これってこのへんなんだ、って立ち寄れるようにしておく、そういう★マークが海外込みで1000近くあるんですが(だからマップ上が非常に五月蠅い)、そういうところがもしかしてないかなあ、と列車内でゆられながらGoogleマップをふんわり開いてみると、なにやら次の停車駅辺りに付いてる★がひとつ、マイケル・サンデルかのようにいまにもぶつかりそうな勢いでグングン近づいてきてるので、え、これなんだろう?と見てみたら。

 HUMANITIES CAFE fudoki
 https://tabelog.com/saitama/A1101/A110101/11060739/

 いつか行くべしと思ってた人文学カフェが、え、あれって大宮にあるんだ、ていうかもうすぐそこじゃないですか、あ、降ります降ります。
 つって、急遽大宮駅で降りる。


 fudokiさんは、歴史研究者の人が人文学のアウトリーチ的な感じでカフェをやってらっしゃるお店で、自分もまったくの同意見だったので、いつか絶対行かなきゃと思ってたそのいつかが突如実現して気持ち的にはあたふたしてたのですが、慌ただしく過ぎ去りそうだった旅行一日目のつかれを原義通りほっこりさせてくれるような、ありがたい空間でした。白一色なのが、邪念が無くてなおありがたい。しばらくまったりしてた。
 食事は宇都宮でと思ってたので、ドリンクだけいただいてましたが、本来は食事をいただくべきところ、寄進ついでの食いっぱぐれ予防にクッキーをいただきました。

 関東には疎いのですが、埼玉の歴史風景ってこんな感じなんだなと、思った。
 お会計の時に、「ご旅行ですか」と言われた。よくわかったなと思いかけたけど、時刻表を広げて東北本線のダイヤとにらめっこしてたから、そりゃそう言われるな。
 ほんとに夕食処にするべきでしたが、先を急ぐ旅なので今回は見送りました。東京駅から30分で来れることがわかったし、よさげなお料理のメニューだったので、次は食事目的に来る。

 …と思ったら、大宮駅発・宇都宮行きの次の便がdelayだった。えー、じゃあご飯食べていきゃよかった。

●大宮→郡山

 大宮発 17:13 → 古河着 17:50? (delay)
 古河発 17:56 → 宇都宮 18:44? (delay)

 19時前頃に、宇都宮駅着。

 当初ここに泊まる案もなくはなかったのですが、日光への拠点のためかまったく宿がないor無駄にお高いので、じゃあせっかくなのでここで夕食に餃子でも食べてから先へ行こう、という心づもりで食べログをぽちぽちしてたのですが。
 まったくダメです、宇都宮で餃子を食べることなど夢のまた夢なのだということがわかりました。
 どの店もこの店もとにかくすごい行列で、並んでたらいつ終わるかわかんない、次の電車にも乗らないとなので、さくっと行ける簡単な店があればと思ってたけど、そんな店はどうやらない、と。
 ていうか、そもそも閉店時間が早めなところも多い。冷静に考えたら、餃子なんか仕込み個数がはけたら仕舞いにするしかないしな、と。
 というわけで、昼過ぎ頃からすっかり餃子の口になってたのを、恨みつらみながら断念し、すごすごと次の電車に乗るのでした。

 宇都宮発 19:20 → 黒磯着 20:13
 黒磯発 20:42 → 新白河着 21:05
 新白河発 21:31 → 郡山着 22:11

 宇都宮から東北本線をさらに北上していきます。
 どのあたりからだったかは覚えがないのですが、ドアがボタン開閉式になったり。
 黒磯から先、みちのくに足を踏み入れ。
 何度かの乗り換えをし、乗り換え駅が郊外型新幹線駅なもので待ち時間にまったく何もすることがないとか。
 そんなこんなで揺られ続け、さすがに飽きが来てしんどくなってきたかなという頃合いで。

 郡山に到着。
 今日はこのくらいにしといたるわ、という感じで、駅前のチェーン系ビジネスホテルにイン。

●餃子バル@郡山

 すっかり餃子の口になっており、これどうにかならんか、宇都宮の仇を郡山で討つべし、と食べログをガシガシ漁っていたところ、郡山の街中に結構遅くまで開いていて、かつ”餃子バル”を銘打ってるお店を見つけたのです。

 もぐら
 https://tabelog.com/fukushima/A0702/A070201/7012213/ 

 ふわっと入ってみると。
 ものすごく落ち着いた雰囲気で、しみじみと一人になれる、通い倒したい居心地の良さ。
 で、もちろん美味い。

 ビールはSORACHI、わかってらっしゃる。

 お通しがちゃんと美味い、素通しできない。

 餃子が、シンプルから変わり種まで豊富な味ごのみのため、選びかねつ、6種類ある盛り合わせセットを。
 うめ、しそ、まめ、生姜、チーズ、まるごとにんにく。
 もちろん羽根まで美味い、オシャレ羽根なだけじゃない。

 つかずはなれずでゆるく話しかけてくれる店主さんと、ちょうどいいくらいにぽつりぽつり会話してたら、最後にサービスで福島のいかにんじんを出してくだったのでした。

 いかにんじん、知識として存じ上げてるだけで初めていただいたんですが、にんじんが想像以上にパリパリの歯ごたえで、えぐみもなく、たいへんおいしうございました。今年初めてつくった、って言ってらして、季節ものなんだー、と思った。

 あとは、人気の無い夜の通りを宿まで歩いたのと、早朝に駅までダッシュしただけなので、郡山がどういう街なのかはわかりませんが、極私的には「餃子の美味い街」として想い出となるでしょう。