今日の「CA読み」メモ: 横浜国立大学、デジとしょ信州、デジタルシチズンシップ 他
○CA2060 – 図書館における「音」をどう包含するか / 中井孝幸
https://current.ndl.go.jp/ca2060
図書館と音、と言われると論点がいろいろ出てきそうですが、論点を明確に定義した上で丁寧に説明されているのでわかりやすかった。
「「音のゾーニング」を断面方向で計画し、階段の位置をずらすことで、下階の音が直接上階へ伝わらない」
○CA2061 – 公共図書館におけるサイバーセキュリティ対策の実践方法について / 米田渉
https://current.ndl.go.jp/ca2061
こちらはだいぶ概略的。
○CA2062 – 3つの情報リテラシー概念に関する検討:各分野における背景と問題意識に着目して / 飯尾 健
https://current.ndl.go.jp/ca2062
「情報リテラシーの概念的検討に際しては、それぞれの情報リテラシー概念間の差異よりも、どのような背景や問題意識から検討された結果、このような内容が導出されたかを考えることが要点」
○CA2063 – 横浜国立大学附属図書館ビジョンを策定して―大学図書館機能の再定義作業― / 大原一興
https://current.ndl.go.jp/ca2063
全文が参照されるべきパターンのやつ。
○CA2064 – 動向レビュー:国内の大学における電子ジャーナルの転換契約をめぐる動向 / 小陳左和子, 山崎裕子
https://current.ndl.go.jp/ca2064
「多額の料金を出版社に支払い続ける状況は、第二のビッグディール問題を生み出している」
「国またはコンソーシアム全体ではなく、それぞれの事情・判断により大学単位で契約を行っている日本においては、大学間格差の拡大や、全体的な非効率性」
○CA2065 – 動向レビュー:欧米における図書館出版のいま / 設樂成実
https://current.ndl.go.jp/ca2065
欧米の状況を踏まえて日本の図書館がどうなのか、どうあるべきかを論じているので、説得力がある。タイトルに「大学図書館」「学術出版」などが入っていたほうがひきつけよかったかも。
○CA2066 – 市町村と県による協働電子図書館「デジとしょ信州」のこれまでとこれから / 森いづみ, 鈴木康之, 奈良澤一恵, 棟田聖子, 平中和司, 文平玲子
https://current.ndl.go.jp/ca2066
これも全文が参照されるべきパターンのやつ。
複数のチームの担当者からそれぞれコメントを集めることで、多角的な視点からこの事業を紹介することに成功しており、全体像が把握しやすくなっていて、非常に良かった。
ベストプラクティスとしての長野は引き続き注目。
○CA2067 – デジタル・シティズンシップを担う公共図書館 / 豊福晋平
https://current.ndl.go.jp/ca2067
世界的な文脈での定義と必要性、をふまえて、国内の公共図書館における課題、という整理のされ方なので、とてもわかりやすく、全員必読でお願いします。
「施設面以上に、デジタル・シティズンシップ教育を公共図書館が担う上でのハードルとなるのは、おそらくコンセプトや運用上の課題であろう」
「我が国の公共図書館に望むこと」
「学校教育以外の接点の必要性」「図書館自体のデジタル化対応」
「学校教育ではデジタル活用に関する忌避度が依然高く、抑制・他律の指導がなされることで、デジタル・アクセス保証とは逆の「デジタル剥奪」が起こる懸念もある」
→これについては、公共図書館がそれに輪をかけてデジタル忌避傾向に陥っていないことを祈る。
○CA2068 – 新しい「国立国会図書館サーチ」への統合に至る道のり / 川島隆徳
https://current.ndl.go.jp/ca2068
「2012年には業務システムのパッケージ導入に伴って、一時OPACもその製品(ExLibris社のAleph)の機能で提供することになった(NDL-OPAC)。しかし、国立図書館としての業務・サービスとパッケージ製品の乖離が大きく、今後のサービスの展開の障壁ともなりうることから、改めて基幹業務システムのフルスクラッチ開発を行った」
技術的にはそうだったとして、じゃあそれは、NDLの事業方針自体とどうかかわってきた結果であるのか、どう位置づけられるのか、今後位置づけられていくのか?が説明されたい。
註釈が少ないのでロストになる人は多そう。
○CA2069 – 動向レビュー:ニューロダイバーシティと図書館サービス―自閉スペクトラム症者の包摂と展望― / 下山佳那子
https://current.ndl.go.jp/ca2069
日本における現状として、「神経発達症のための図書館サービスというと、知的発達症やSLD、中でもディスレクシア(読み書き困難)への対応の検討が中心であり、それら以外の神経発達症については、管見の限り、あまり論じられてこなかった。また、ASDへの対応と銘打たれていたとしても、DAISYやLLブック等の読みやすい資料の用意が中心」
「ニューロマイノリティへの配慮は図書館だけでなく、ミュージアムや映画館等の様々な場で検討されているため、施設や分野の垣根を超えた、知見の共有も役立つ」
○CA2070 – 動向レビュー:ラーニングコモンズの評価方法を考える / 岩﨑千晶
https://current.ndl.go.jp/ca2070
大学内の各機能各立場と多様に接続するようなラーニングコモンズを、それ単体で評価することの意味がどの辺にあるか、という疑問がのこる。(いや、逆に”だからこそ”なのかも)
○CA2071 – 動向レビュー:学校・学校図書館における読書活動―2011年から2024年まで― / 足立幸子
https://current.ndl.go.jp/ca2071
デジタル読書は”今後の”課題なんだろうか、という疑問ものこる。長野報告のグラフと合わせ読んで特に。