「日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための課題解決についての提案」

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[更新日] 20170611
 
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(ソース)
・「日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための課題解決についての提案」
 http://www.momat.go.jp/am/wp-content/uploads/sites/3/2017/04/J2016_520.pdf

(参照)
・『公開ワークショップ「日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための提言」報告書』(I, II, III). JALプロジェクト2014「海外日本美術資料専門家(司書)の招へい・研修・交流事業」実行委員会, 2015.3-2017.3
 http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB18323816
・水谷長志. 「JALプロジェクト「海外日本美術資料専門家 (司書) の招へい・研修・交流事業」2014-2016:3年間の総括としてのアンサー・シンポジウムおよび 「提言」 への 「応答」 としての 「提案」 について」. 『情報の科学と技術』. 2017, 67(6), p.309-314.
 http://doi.org/10.18919/jkg.67.6_309
・「極私的解説付きの「日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための課題解決についての提案」」 / egamiday 3
 http://egamiday3.seesaa.net/article/450762067.html





日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための課題解決についての提案

2017年3月31日
JALプロジェクト2016* 「海外日本美術資料専門家(司書)の招へい・研修・交流事業」実行委員会

  • JAL: Japanese-art librarian


 本稿は、上記実行委員会が2014-16 年に開催した公開ワークショップ「日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための提言I-III」1)において、海外日本美術資料専門家(司書・学芸員・研究者等)から出された提言を受けて、実行委員および関係各位との討議2)を踏まえてまとめたものです。
 JALプロジェクトに参加し来日した25 名のJAL らから示されたさまざまな提言を、日本美術資料、そしてあらゆる文化資源に関わる国内外の各機関・組織がそれぞれ受け止め、今後、日本美術、日本文化にとどまらず日本研究全般に関わる資料・情報の海外への発信をより良いものとするために、以下の提案を具体的な取組みへ向けての指針の一端として活用されることを期待いたします。

1) JAL プロジェクトおよび公開WS の報告書全文は下記サイトに掲載。
http://www.momat.go.jp/am/visit/library/jal2016/
2) 2016年12月9日の3度目の公開WSの後日、実行委員と関係各位によるアンサー・シンポジウム「JAL2016WS「日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための提言 III」への応答 -“またもや”感を越えて」を翌年2017年2月3日に開催した。その全容も上記サイトに公開している。



1. 海外のユーザについて

1.1 海外のユーザのことも対象者として認識すること
・日本の美術資料は、日本のユーザだけのものではなく、海外のユーザも必要としているということを認識してほしい。
・専門の研究者だけでなく、日本文化に興味を持つ一般のユーザや、日本が専門ではない司書・資料専門家・研究者等も、日本美術資料のユーザとして認識してほしい。
・ターゲット・ユーザの見直しは、国内・海外を問わず必要である。

1.2 海外のユーザが日本から離れつつある現状を認識すること
・日本美術資料のために、英語等が整備された海外のデジタルアーカイブを使うユーザが多い。
・日本のデジタルリソース不足が日本研究忌避をもたらすこと、東アジアをはじめとする他国のデジタルアーカイブの形成が旺盛な勢いで進められていることを、認識してほしい。
・特に若い世代はデジタルでアクセスできないと離れてしまう。

2. データベースやデジタルアーカイブのあり方について

2.1 多言語対応、ローマナイズが必要であること
・海外のユーザにとって、英語その他の多言語対応およびローマナイズが必要であることを、認識してほしい。
・図書館システムやデジタルアーカイブが、多言語対応およびローマナイズされていてほしい。
・コンテンツ全体の対応が難しくても、メタデータやアブストラクトだけでも対応してほしい。
・日本美術研究資料の翻訳を推進してほしい。
・言語だけでなく、サムネイル画像等の提示も効果的である。

2.2 可視化が必要であること、およびそのためのポータルサイトが必要であること
・日本のデータベースやデジタルアーカイブが、散在していて分かりにくく、インターネットで公開されていても、海外の専門家に周知されていないことを認識してほしい。
・包括的・効率的な検索・アクセスのために、日本美術に関する資料・情報を集約するポータルサイトを構築してほしい。
・データベースやデジタルアーカイブのコンテンツが、Google 等のサーチエンジンでもヒットするようにしてほしい。

2.3 オープンなアクセスが必要であること
・デジタル化されていても、館内限定や日本国内限定のデータベースが多いが、これらはインターネットで公開してほしい。
・アクセスだけでなく、画像の再利用等についての許諾手続きを分かりやすくしてほしい。
・教育利用はできるだけ無償での利用の道を検討してほしい。

2.4 ユーザにとって使いやすいこと
・複雑なインターフェースによってユーザを失わないために、利用行動の検証が必要である。
・特に若い世代のためにデジタルコンテンツの充実とデジタルデバイスへの対応が必要である。

2.5 国際的なレベルでのデータベース構築やコンテンツ発信が必要であること
・海外のユーザの情報行動、操作アクションについてイメージすべきである。
・構成やインターフェースなど、海外の類似データベースとの相対的な比較が必要である。
・国際標準と目される美術情報資源などについてサイト構造の分析の必要がある。
・国際的なポータルサイト等に参加してコンテンツを発信することを検討してほしい。

3. 人的サポートとコラボレーションについて

3.1 応答してくれる窓口が必要であること
・問合わせ対応の窓口を分かりやすく示し、またe-mail での問合わせも受け付けてほしい。
・英文での問い合わせであっても、どのような回答であれ何かしら答えてほしい。

3.2 アート・アーキビストの配置が必要であること
・アーキビストの配置とアーカイブのグローバル対応の情報発信が必要である。

3.3 交流・ネットワーク作りやコラボレーションが重要であること
・日本の研究者や専門家とのネットワーク作りのため、講習や研究会などの対話の機会を継続的に設けてほしい。
・日本の研究者情報や、プロジェクト・助成金に関する情報を探せるポータルサイトがほしい。
・国際会議に積極的に参加し、発表したり、パネルやワークショップを催したりして、情報発信をしてほしい。
・海外に出向いて学生に研修をおこなったり、情報交換の場を設けたりしてほしい。
・多言語対応・ローマナイズやデータベース等のプロジェクトにおいて、海外関係者ともっと議論をし、連携・協力を求めてほしい。
・海外の関係者もプロジェクトに加えて進めることを検討してほしい。
・学生をプロジェクトに参加させることが、若い世代の育成につながる。

以上